土曜日サタデーナイトレディオ

時報が21時を告げ、ジングル後パーソナリティがお決まりの挨拶をする。車のラジオから流れるシティポップは夜の山道とは不釣り合いに思えた。
「注目のバンドweeklyで『銀河』でした。映画『不倫シャトル』の主題歌で人気急上昇の楽曲です。」
彼女と見た映画だ。上司とヒロインがシャトルに乗るシーンが印象的で覚えている。助手席で目を閉じた彼女を横目にカーブを曲がる。ラジオではハガキを読んでいる。
「彼の態度が冷たい。」
パーソナリティは当たり障りないアドバイスをしている。曲がりくねった道を慎重に走る。
「最近少し暴力も増えてきて…」
草木がざわめき、少し肌寒く空調を消す。この先の大きなカーブは事故が多いらしい。
「監禁に近いことも…」
耳を塞ぎたくなる。首を汗が伝う。ラジオ停止を押す。消えない。停止を押す。ラジオも震えも止まらない。次の刹那、ラジオの声が僕を戦慄させた。

「どうして私を殺したの？」