0
2

「よう、久しぶり」「おう、元気だったか?」
盆休み、お土産を手に兄は帰ってきた。
仕事が忙しく、中々家に帰ってこられない兄は挨拶もそこそこに居間で大の字になるとくつろぎ始めた。
「やっぱり家はいいな~」
「くつろぐのはいいけど、お土産を乱暴に扱うなよ」
兄がお土産にと持ってきた丸い球は赤い汁が滴り落ちている。
「あ~あ、割れちゃってんじゃん…」
真っ二つに割れたスイカの片方を冷蔵庫に。もう片方は食べやすいサイズに切って兄へ持って行った。
「お前は食わねぇのか?」
「あの世の食べ物を口にしたら、俺もそっちに行くんだろ?俺はまだ、この世でやり残した事があるからな」
「そっか…無理心中でお前一人生き残った時はどうなるかと思っていたが、本当に元気そうで良かったよ」
立ち上がった兄は家を出て行く。
「もうあの世へ帰るのか?」
「いいや、立派になったお前の姿を両親にも見てもらう。迎え火の追加、頼むよ」
ホラー
公開:20/07/28 18:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容