空掃

消雲庁は空掃業務を担う。彼らはスイーパーと呼ばれチームで動く。
気象庁と連携し、災害を孕む雨雲の発生を検知すればUVカットゴーグルと風雨や雷を防ぐツナギを装備し、滞空可能ジェットブーツで現場へ赴く。そこでクラウドスイープというモップで雲を掃き、太陽や月を覗かせるのだ。
ただ、雨不足の地域もある。掃いた雲は保持し、空を駆け必要な上空へ運ぶ。お陰でどこも頃合いを見て適度に降雨し、今や豪雨災害は0。
海外の消雲庁とも連携し、台風やハリケーン、トルネードが発生すると空掃競技大会が催され、各国のスイーパー達の空掃範囲は世界に及ぶ。雨雲を掃き雨不足の国へ運ぶが、この競技は運んだ雲を変形させるのだ。動植物を描いたり、色と厚さの異なる雲を並べ虹を描いたり。採点は空想の描雲技術と地上からの歓声量で付ける。
今、各国代表による描雲合戦が日本上空で催されている。貴方も雲絵を見つけたら、空へエールを送ってほしい。