レジェンド 〜神速の魔術師

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いよいよ決勝が始まる。
予選・準決勝と順当に勝ち上がった俺は、目を閉じて呼吸を整え、相棒の箸を握りしめた。
木材の中でも最高級と言われる蛇紋木で作られた箸は、箱から箱へと豆を移す予選の『移し』でも、一箸で多くの豆を挟む準決勝の『挟み』でも、誰よりも多くの豆を獲得した。
残すは最高難度の『飛獲』のみだ。目にも止まらぬ速さで次々と投げつけられる豆を空中で掴む、正に箸使いの粋とも言うべきこの種目を制した者が、世界の頂点に立つ。

合図の笛と共に競技が始まった。
獲った豆の数だけでなく、唸りを上げて迫る豆をはっしと掴むその箸使いやポーズの美しさも、芸術点として評価される。
俺の前の女は、優雅な舞いのように美しいパフォーマンスを見せて大歓声を受けていた。ふっ、その得意顔も今だけだ。伝説の秘技『二箸神喰把』を見せてやる。

俺は若狭の最高級塗箸を握りしめ、ゆっくりとフィールドの中央へ歩いていった。
公開:20/07/26 21:47
更新:20/09/01 13:18
蛇紋木=スネークウッド 日本の箸生産の85%が 福井県小浜市だそう 1ヶ月ぶりの投稿が この内容って(笑) 空想競技 #1

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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