野外教室

あーぁ、今日の午後は本当は野外教室のはずだったんだ。
野原で風と走ったり、山でどうぶつたちを観察したりね。だけど誰かがみっちゃんの色鉛筆をとったらしい。

「では皆さん、目をつむって心当たりのある人は手をあげて下さい」早速先生の犯人探しが始まった。でも誰も手なんてあげないんだ。しんとした教室はまるでこの世じゃないみたいだった。

どれくらい経っただろう。
僕は耐えきれなくなって思わず片目を開けた。するとおかしいな、目の前にふさふさのしっぽが見える。こっそり振返るとたぬきの子らがぎゅっと目をつむっているじゃないか。おまけに前を向くときつねの先生がこっちを見てくすくす笑っている。
僕は慌てて下を向いた。するときつねのその顔が机の下からにゅんと出て僕の体を突き上げた。とその瞬間、ぱちんと音がしてあっという間に教室はなくなった。
僕は野原にひとりぽっちで座っていたんだ。
辺りはもう真っ暗だった。