第二次干支レース

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此度二度目となる干支の選考が行われる事になった。ルールは以前と変わらぬ早い者勝ち、要は競。
これを誰より喜んだのは猫だ。鼠に騙され選考から弾かれてしまったのも遠い昔、今度は誰より早くゴールの門を潜って見せようと、猫はレース開始日の数日前からゴールへと走り出した。するとどうだ、それに触発された猪や鶏、猿たちも上位目指し猫の後を追っかけ出したではないか。
馬や龍、虎たち現上位陣も慌てて駆け出した。対して鼠はやる気無し、乗り心地の良い牛の背中で昼寝に勤しんでいた。牛も牛で、のっそりとした歩みで進みはするものの、前には誰も居ない。最早選考から弾かれるのは確実と思われた。
後日、レースは終了し順位と、それに伴い新しい干支が発表された。
そこに一番にゴールした猫の名は無かった。代わりに、あの憎き鼠の名が一位にあった。牛も変わらず二位だ。
今回のレースは遅いもの勝ちだったのだ。そう気付き、猫は泣いた。
その他
公開:20/09/27 19:51

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