せんぷうき

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ある夏の日、ソファーで昼寝をしていた私は、弟の部屋からの凄まじい音に目が覚めた。
「弟!どうかしたの」
「お姉ちゃん!ちょっと、ヘルプ‼」
珍しく、慌てた様子の声に呼ばれて、急いで駆けつける。
ドアを開けると、まるで台風が通り過ぎた後のように、雑然とした弟の部屋に、少しの間言葉を失った。
「ねえ、これ、どうしたの?」
弟は、少ししょんぼりとした様子で話してくれた。
「ハンディー扇風機っていうの流行ってるじゃん。お姉ちゃんも持ってるやつ。あれ、僕も買ったの。それの風量調節が難しくて…」
そう言って、弟は手に持った物を、見せてくれた。
既の所で、私は叫びだしそうになるのを抑えた。
弟が手に持っていたのは、ぎょろっとした目、青い胴体、二本の角をもった小鬼だった。
「それ…何?」
「せんぷうき。屋台で売ってたの」
しょんぼりとした弟の足元には、
”旋風鬼 200円”と書かれたレシートが落ちていた。
ファンタジー
公開:20/09/26 21:59
更新:20/09/26 22:20

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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