絶対貯まる貯金箱

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私は今、悩んでいる。
目の前には一匹のミニブタ。つるつるしたお肌で触り心地は非常にいい。
うちに来たときはガリガリだった。ブタはすんすん鼻を鳴らし、ご飯をせがんだ。ブタのご飯はお金だ。そう、彼女は貯金箱なのだ。
一年前、なんとかいうロボット製作会社が「絶対貯まる貯金箱」と銘打って売っていたのを、戯れに買ってみた。
ブタは日に三度、すりすりとすり寄ってきてはご飯をせがんだ。
私はその都度、お金を食わせた。金額はいくらでもよく、小銭の時もあれば、ちょっと奮発してお札を一枚あげることもあった。

私はブタをひっくり返した。
ピンクの腹にはやはり、お金の取り出し口らしきものは見当たらない。
そういえば、陶器の貯金箱の中には金づちで割って取り出すものもあったと今更ながらに考える。

私の横には工具箱。少し手を伸ばせばトンカチはすぐに取り出せる。

ブタが愛くるしい目で見つめてくる……。
ホラー
公開:20/09/25 06:34

スズキリネン( 千葉 )

どうやったら面白い作品が書けるのか、日々試行錯誤中。

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