そこにもここにもお猿がいっぱい
14
7
猿はいつも暗闇に青い燐光を纏って現れる。
僕のデスクの少し先で嘲るようにこちらを見ている。
「おいおい妙な考え起こすなよ。言われた通り墨を引いときゃいいんだ。どうせ誰も見やしないんだから。ウキ」
僕が書類の文字を黒いインクで塗り潰すと、猿は満足げにキーキーと笑う。
耳障りで不快だ。
だがとうに慣れてしまっている。
僕はそっと目を閉じる。
出入り口、出勤しようとする僕に胡乱な連中がカメラとマイクを突きつける。公文書の偽造、政治家への忖度。そんな言葉が飛び交うが僕はなにも語らない。
「それでいいんだ。下手なこと言うと後が怖いぜ。お前にも生活があるだろ?ウキ」
大通りではデモが起きている。真実を語れと叫ばれているらしい。が、それも聞こえなければどうということはない。
「耳を塞いで机に向かってろよ。お仲間と同じようにさ」
ああなんだ、猿が沢山いるじゃないか。
右にも左にも、僕自身も。
僕のデスクの少し先で嘲るようにこちらを見ている。
「おいおい妙な考え起こすなよ。言われた通り墨を引いときゃいいんだ。どうせ誰も見やしないんだから。ウキ」
僕が書類の文字を黒いインクで塗り潰すと、猿は満足げにキーキーと笑う。
耳障りで不快だ。
だがとうに慣れてしまっている。
僕はそっと目を閉じる。
出入り口、出勤しようとする僕に胡乱な連中がカメラとマイクを突きつける。公文書の偽造、政治家への忖度。そんな言葉が飛び交うが僕はなにも語らない。
「それでいいんだ。下手なこと言うと後が怖いぜ。お前にも生活があるだろ?ウキ」
大通りではデモが起きている。真実を語れと叫ばれているらしい。が、それも聞こえなければどうということはない。
「耳を塞いで机に向かってろよ。お仲間と同じようにさ」
ああなんだ、猿が沢山いるじゃないか。
右にも左にも、僕自身も。
ホラー
公開:20/09/24 21:29
平成元年生まれ、最近はショートショートあまり書いていませんでした汗
ログインできてよかったぁ…
ログインするとコメントを投稿できます