おと、おとなブランコ

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おと、がギシギシ、ミシミシと鳴る。おと、がキシキシ、ミンミンと鳴る。

これは幻聴だけれど、このまま鳴るおと、に気をつかう。5歳の息子がブランコを揺らす。

あああ、っ私もブランコを揺らそうか。ブランコを、揺らそうか。

ギシギシ、ミシミシ。
キシキシ、ミンミン。

ブランコを揺らそうか。

ひとこぎで、10歳。
ふたこぎで、20歳。
さんこぎで、30歳。

どうやら若返る。若蛙。若蛙。わかがえる。

おとなブランコは、若蛙。

ゲゴーゲゴーと、ひとこぎから私は若返る。

このまま、母親の元に帰ることになるかもしれないことに私はおののく。

しかし、ブランコは揺れを止めない。

つまりは、私を子供にするつもりかしら。
でも、ブランコは揺れを止めない。

大人ブランコは節操がないのだ。

母親の元に帰るなら、この子は誰と過ごすのか。この子は、この子は。

私の子供なのだから。
その他
公開:20/09/24 21:04

きろひの、えう

ぼそぼそと創作話を書いています。

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