貯金の果て

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貯える。何でも「貯金」することで人の文明は築かれてきた。

食べ物は塩漬けにしたり冷蔵、冷凍したりで保存が可能になった。いわば食料の貯金。

財産をお金に換えて銀行に預け、老後に備えることができるようになった。文字通りの貯金。

太陽光発電に水力、風力発電。これはエネルギーの貯金。

人はやがて、時間さえ支配できるようになるかもしれない。

つまり、時間の貯金。モモではないが。

リタイア後を悠々自適に満喫したいから、現役世代であるうちに時間を切りつめておこう。いつまでも若々しくありたいから、若いうちに時間を貯めておこう。

将来のため、将来のため、将来のため。

いま、はそっちのけ。将来のために何もかもを貯金するようになる。

やがて、そんな時代がやって来たら。

人の世は、どんなにつまらなくなるだろう。
その他
公開:20/09/24 18:12

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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