消えない火
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アスリート、作家、政治家、医者、有りとあらゆる有能な人間のDNAを集めたアンプルを指で弾く。『金のなる木』と博士は言うけど、そんなにうまく行くだろうか。助手の立場として今さら倫理違反だと言うつもりは無い。その為に身寄りの無い女性を集めては、世話をしろという命令にも従った。遺伝子に異常があった胎児を失敗だとはじく博士を見た時に初めて殺意という感情が生まれた。
博士の魔の手から保護した母子に戸籍を作ると、成長した子供達はそれぞれの場所で活躍し始めた。警察や自衛隊、消防等で能力を発揮しているようだ。博士はまだ気づいていない。光輝く影で、虎視眈々と博士の命を狙っているもの達がいることを。
私は彼らの手を汚させたくない。博士のクローンである私が悲劇の元を絶つ。驚愕の目で見上げる博士を踏み潰すと、研究所に火を付けた。アンプルを抱き闇に紛れて走る。悲しみの炎は夜が明けても燃えていた。
博士の魔の手から保護した母子に戸籍を作ると、成長した子供達はそれぞれの場所で活躍し始めた。警察や自衛隊、消防等で能力を発揮しているようだ。博士はまだ気づいていない。光輝く影で、虎視眈々と博士の命を狙っているもの達がいることを。
私は彼らの手を汚させたくない。博士のクローンである私が悲劇の元を絶つ。驚愕の目で見上げる博士を踏み潰すと、研究所に火を付けた。アンプルを抱き闇に紛れて走る。悲しみの炎は夜が明けても燃えていた。
SF
公開:20/09/24 16:49
命の火
復讐の火
特殊能力
思いつき
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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