申し込み

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「リョウコさん。結婚してください」
 男はリョウコの前で片膝を突いて、彼女に小さな箱の蓋を開けて差しだした。
「セイジさん。わたしに正式に結婚を申し込まれるのですね?」
「は、はい。正式に、です。結婚してください!」
 セイジは片膝突いたままの姿勢でもう一度、手に持った箱を差し出したがリョウコは受け取る素振りも見せず、自分のバッグを開け、
「それでは、こちらの申込書に必要事項を記入してください」
 リョウコはバッグから出した紙を逆に彼に差しだした。その紙には、
『結婚申込書 ご自身の隠しごとを3つまで記入してください』と書いてある。
 それを読んだセイジは少し困惑したような顔をしたが、
「ぼ、僕はリョウコさんに隠しごとやヒミツなどひとつもありません!」
「そうなの?それじゃあなたのことをもう全てわたしは知ってしまったの?じゃあつまらないわ、お付き合いはこれで終わりにしましょう」
その他
公開:20/09/24 14:16
更新:21/05/23 22:16
#ショートショート #超短編小説 #恋愛 #結婚 #プロポーズ #隠しごと

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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