犯人は冷蔵庫？！

殺人容疑の男は警察により自宅アパートに連れてこられた。被害者は男の恋人だ。
風呂場から採取した血液もDNAも女の物だった。ただ死体が無いのだ。
冷蔵庫を気にしていた男は観念した。
「死体は冷蔵庫の中だ」
「嘘をつくな！中は空だ」刑事は語気を強めた。
「バカな」男は手錠の嵌った手で冷蔵庫を開けた。
「無い！」男は何も無い冷蔵庫をまさぐった。
突然、冷蔵庫の中に男が吸い込まれ勢いよくドアが閉まった。
警察は数人がかりで開けようとしたがびくともせず、中からはぐちゃぐちゃボキボキと嫌な音がした。
拳銃を撃っても効果がない。

突然、冷蔵庫は窓から飛び出し、勢い良く逃げ出した。
「追え！逃すな！」全員が冷蔵庫を追いかけた。
冷蔵庫は角を曲がるとフッと消えた。
道の両側には多数の自販機が並んでいた。刑事たちは諦めて手配することにした。
１台の自販機からわずかに血が滴っていることには誰も気づかなかった。