沸騰して妖精があふれだす
4
4
IHに置かれたフライパンが湯を沸かしている。ガスでないもどかしさに、単身赴任の男は苛立っている。
会社があてがってくれた寮であるからして、文句のひとつも言うまい。男はだまって、湯が沸き立つのを待っている。
中心から、水が泡立つ。泡立つとともに、そのひとつひとつの泡が個性を帯びてくる。
そして、楽しげにはじけあう。
そして、語りだす。
そして、軽やかに妖精として歌う。
やぁ、今日も歯周病が気になるのか。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、子供は電話をしてくるなと言ったんだろう。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、でもまぁお疲れさまでした。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、やぁ、やぁ、
うるさい、でもまぁもう少しだけこのまま。
もう少しだけこのまま。
会社があてがってくれた寮であるからして、文句のひとつも言うまい。男はだまって、湯が沸き立つのを待っている。
中心から、水が泡立つ。泡立つとともに、そのひとつひとつの泡が個性を帯びてくる。
そして、楽しげにはじけあう。
そして、語りだす。
そして、軽やかに妖精として歌う。
やぁ、今日も歯周病が気になるのか。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、子供は電話をしてくるなと言ったんだろう。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、でもまぁお疲れさまでした。
うるさい、余計なお世話だ。
やぁ、やぁ、やぁ、
うるさい、でもまぁもう少しだけこのまま。
もう少しだけこのまま。
その他
公開:20/09/23 23:27
ぼそぼそと創作話を書いています。
ログインするとコメントを投稿できます