満塁アブラゼミホームラン
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そのアブラゼミは、甲子園のスコアボードの上にあるポールに留まり、高校野球の決勝戦を観ていた。
9回表、強豪P学園は相手のエラーから3点を奪った。その時、セミは妙なものを見ていた。黒い人影が打球に手を出しミスさせたのだ。
「あれは魔物だよ」
そう囁いたのは、浜風だった。
「魔物?」
「甲子園の魔物が、いたずらをするんだ」
セミは魔物を許せなかった。球児たちの一生懸命な姿を見ていたからだ。
9回裏、二死満塁。ホームランでN高校の初優勝が決まる。投手はストレート勝負。打撃音が球場内に響いた。
打球はポール際。その刹那、魔物がボールをファール側に寄せた。アブラゼミはその打球にぶつかっていった……。
試合終了。N高校が初優勝を果たした。
アブラゼミは校歌を聴きながら、光となって夏空に舞い上がった。浜風はその光を空の彼方へと運んでいった。まるで白球が雲に消えるようだった。
9回表、強豪P学園は相手のエラーから3点を奪った。その時、セミは妙なものを見ていた。黒い人影が打球に手を出しミスさせたのだ。
「あれは魔物だよ」
そう囁いたのは、浜風だった。
「魔物?」
「甲子園の魔物が、いたずらをするんだ」
セミは魔物を許せなかった。球児たちの一生懸命な姿を見ていたからだ。
9回裏、二死満塁。ホームランでN高校の初優勝が決まる。投手はストレート勝負。打撃音が球場内に響いた。
打球はポール際。その刹那、魔物がボールをファール側に寄せた。アブラゼミはその打球にぶつかっていった……。
試合終了。N高校が初優勝を果たした。
アブラゼミは校歌を聴きながら、光となって夏空に舞い上がった。浜風はその光を空の彼方へと運んでいった。まるで白球が雲に消えるようだった。
ファンタジー
公開:20/09/23 19:37
スクー
満塁アブラゼミホームラン
ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。
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