夏休みデビュー

長い夏休みが終わり、教室内にクラスメイトの悲喜交々な声がこだまする。
そんな声が、一瞬にして静かになった。
教室に”怪物”の異名を持つ大野がやってきたからだ。
大野は夏休みデビューを果たしていた。
長い夏休み。何があったか分からないが、大野は肩にピカチュウを乗せて登校してきた。
ボケかと思ったがその電気鼠はどう見ても本物だ。迂闊に触れようものなら１０万ボルトを食らう恐れがある…実際、大野の髪は電気のせいか逆立っている。それを隠すよう教室に入っても帽子は脱がない。
そんな沈黙を破ったのは隣のクラスの城島だった。
「俺とバトルしようぜ！」
城島の言葉にさらに混乱は深まる。『ジムリーダーではないリーダー対決か？』なんて声が聞こえてくる。
もうどうしたらいいんだ！
俺の肩を先生が優しく叩く。
「大野。城島。森田。お前ら今すぐ職員室へ来い」
なぜか俺も職員室へと呼ばれた。
何でだろうな、ヒバニー？