齢三千年の杉
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山奥に齢三千年の杉があると聞いて見に行った。いざ訪れてみると、すでに枯れているんじゃないかと心配するほど樹皮の剥がれた老樹であったが、てっぺんは遥か空にあり、細々とまだ緑が繁っていた。よくよく見ればその偉容は塔のように太く聳えており、有史以来たくさんの人々が、その神々しさに驚嘆したに違いないと思われた。
私は老樹の精霊と対話ができたらいいのにと思った。達観した人生とか、世の無常観など、長く生きたものが感ずるところを、バスガイドさんみたいに聞かせて欲しいと願った。だがそんな私には見向きもせず、老樹は静かに沈黙するばかりである。
しばらくして、答えを待っていてはいけないな、と私は思った。私がここへ来た意味、何を感じたか、何を思ったか、それは誰かに教えてもらうようなことではないのだ。
私は、いつか私もこの一本の杉のように聳えて立つ者になりたいと思うに至った。
そして瞼を閉じて合掌した。
私は老樹の精霊と対話ができたらいいのにと思った。達観した人生とか、世の無常観など、長く生きたものが感ずるところを、バスガイドさんみたいに聞かせて欲しいと願った。だがそんな私には見向きもせず、老樹は静かに沈黙するばかりである。
しばらくして、答えを待っていてはいけないな、と私は思った。私がここへ来た意味、何を感じたか、何を思ったか、それは誰かに教えてもらうようなことではないのだ。
私は、いつか私もこの一本の杉のように聳えて立つ者になりたいと思うに至った。
そして瞼を閉じて合掌した。
その他
公開:20/09/22 09:25
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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