階段の在る家

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ハコは、はしゃいでジュースを飲み過ぎたせいで、夜にトイレに行きたくなった。姉のナコと寝る直前まで見ていた怖いテレビを思い出してしまった。ナコはかすかにいびきをかいて寝ている。起こすとものすごく怒られるのが分かっていても、ついてきて欲しかった。何だかんだで面倒見がいい姉なのだ。
「一人でトイレに行けないなんて赤ちゃんだね」と笑われ「次は一人でいく」と意地をはったことを後悔した。
ハコは恐る恐る、戸を開けた。闇に一歩踏み出す瞬間が一番怖い。廊下へ出て、突き当たりがトイレ。心の中で童謡の「ぞうさん」を歌う。勇気が出る歌だ。トイレの中では我慢出来ずに声を出して歌う。トイレを出て、いつもの階段を上ろうとした時、戸が開いて目を擦りながらナコが出てきた。
「こっちだよ」
ハコはナコの声がする方へ歩いていった。そうだ、今日はお祖母ちゃんのアパートに来てたんだった。階段なんかあるはずないんだ。
ホラー
公開:20/09/21 23:47

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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