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「うむ、ついに完成したぞ」
R博士の声を聞きつけて、隣人の男がやってきた。
「今度は何ができたんです?ロクなものを頼みますよ」
机の上には色とりどりの錠剤が並んでいる。
「隣人のよしみで教えてやるから、そう責めるな。これは好き嫌いを克服できる薬なのだ。私は刺身が苦手で、これまで居酒屋で楽しむことができなかった。しかし、これがあれば私も宴会を楽しめる、という訳だ」
「それなら、僕にも少し分けてください。同じ境遇なんです。」

帰宅した男は早速バニラ色の錠剤選んでを口に放り込み、焼いたピーマンを恐る恐る一口頬張った。
「大丈夫だ!バニラの味がするぞ!こんな歳にもなってピーマンが苦手だなんて、人に言えないからな…」

翌晩、男は同僚と居酒屋に行くとピーマンの肉詰めに和え物、青椒肉絲を注文した。
男は大口でおかずを勢いよく頬張った。
「げぇー!ぺっぺっ!やっぱり不味いじゃないか!!」
公開:20/10/09 18:00
更新:20/10/03 02:11

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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