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沙織と二人で宝石釣りをするために、ジュエル湖にやってきた。
今夜、おれは大物のダイヤモンドを釣り上げ、沙織にプロポーズしたい。
早速、シルバーのリングを釣り糸にくくり、せーので虹色に光る湖に向かって投げた。
ポチャンという音と同時にできた泡沫が、大粒のパールみたいで美しい。そんなことを考えていると、
『釣れた』
早々にして沙織は宝石を釣り上げた。サファイアだ。その後も、ルビーにトパーズ、アメジストと…
一方、おれはまだ何も釣れていない。
すると、
『ちょっと行ってくる』
沙織はバケツを持って歩き回り、湖にいる他のカップルたちに宝石を配りだした。

戻ってくると、沙織のバケツの中は空だった。
「全部、あげたの?」
『うん。みんな全然釣れてなかったみたい。喜んでた』
「そっか」
結局、おれはその後も全く釣れず、プロポーズもできなかった。
だけど、絶対にこの人と結婚したい、今夜はそう強く思った。
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公開:20/09/21 21:17

日常のソクラテス( 神奈川 )

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