迷いの家
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                                幸田は付き合って三年の彼女がいる。紀子との生活を想像してプロポーズはまだだが、住宅展示場に来てしまった。家族連れとすれ違いに中に入る。
「ご記入お願いします。飲み物お持ちしますね」
案内の女性に言われるがまま、年収や住所、家族構成などを書く。
「では、ご案内致します」
最新式のキッチンの説明に料理をしないので「なるほど」と分かったふりをしてやり過ごす。収納やリビングの採光などの説明に飽きてきた頃、やっと二階に案内された。
「寝室は二つの洋間がありまして」
「夫婦用と子供部屋、良いですね」と振り向くと案内の女性がいない。消えたのは女性だけではない、階段もだ。
「嘘だろ」
展示場に電話したいが飛び入りのため番号が分からない。紀子に電話をかけて早口で状況を説明する。
「そういう時だけ聞くのね」
「頼む、助けてくれ」
階段を上る足音と窓の外に闇が静かに近づいて来る。
    「ご記入お願いします。飲み物お持ちしますね」
案内の女性に言われるがまま、年収や住所、家族構成などを書く。
「では、ご案内致します」
最新式のキッチンの説明に料理をしないので「なるほど」と分かったふりをしてやり過ごす。収納やリビングの採光などの説明に飽きてきた頃、やっと二階に案内された。
「寝室は二つの洋間がありまして」
「夫婦用と子供部屋、良いですね」と振り向くと案内の女性がいない。消えたのは女性だけではない、階段もだ。
「嘘だろ」
展示場に電話したいが飛び入りのため番号が分からない。紀子に電話をかけて早口で状況を説明する。
「そういう時だけ聞くのね」
「頼む、助けてくれ」
階段を上る足音と窓の外に闇が静かに近づいて来る。
        ホラー
      
      公開:20/09/22 12:54      
    
                  消える階段 
              
    射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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射谷 友里