器用貧乏

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「器用貧乏だと思っていたが、ただの貧乏だな」
佐々木蔵之介似の担当者が玉田の書いた原稿を突っ返す。
「問題ありました?」
死んだ目で担当者を見た。
「犯人が三日三晩深夜バスに乗って逃げるなんて有り得ないだろう」
「大泉洋なら出来ます」
伝説のローカル番組の企画を説明する。
「犯人が捕まる前に死ぬよ。コンプライアンス大事よ」
「豪華列車と新幹線を乗り継いで逃げるっていうのは。コンプライアンス大丈夫です!」
「そんなに金持ってるなら人雇うわ」
「青春18きっぷで殺しに行くってのは」
「後味悪すぎる」
二人はにらみ合い、そして黙りこんだ。
「車と自転車にしましょうか」
「普通だな」
「キャリーに入れます?」
「俺の図体見ろ」
自転車とキャリーケースを詰め自動車に乗る。
「おい、犯人。オービス光ったぞ」
「トリックです」
「お前、器用だな」
「支払いお願いします」
ミステリー・推理
公開:20/09/21 09:38
文字数の為、敬称は省略致します 遊んでます

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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