上質なスープ

三ツ星レストランに若いカップルがやって来た。
男の方は成金っぷりが顔に出ていて、
女の方は女性誌から飛び出してきたかのように華奢で美しかった。

席に着くとシェフが慣れた口調でコースの説明をし、すぐにスープが運ばれてきた。
透き通った黄金色をし、皿のふちに寄った油は三日月を連想させる。
「綺麗…」
そういうと女は写真を一枚撮り、スープを口に運んだ。

一口飲む姿を見て安心した男はシェフにスープのことを尋ねた。
「こちらは世界中の野菜を猪肉・羊肉から抽出したエキスで煮込んだ、上質なスープでございます」
女はそれを聞くと顔を真っ青にし、トイレに駆け込んだ。
ぺっぺっとスープを吐く女に男が尋ねる。
「おいしそうに飲んでいたのに、我慢していたのかい？」
「私はモデルよ？あんな高カロリーなスープ飲めるわけないじゃない！」