イモムシとワタシ
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いつもの散歩道、目の前に何かが落ちてきた。それは鮮やかな緑色のイモムシだった。それが落ちてきた木から青々とした枝葉を拝借し、その上にイモムシをのせて家に連れて帰った。
ワタシはひとりぼっちだった。そんなワタシにとって、ジャムの空き瓶の中で日に日に成長するイモムシは生きがいになった。イモムシは元気に葉を食べ続け、いつの間にか糸をだしサナギになった。ベッドからサナギを見守る。カーテンと窓を開けてイモムシと朝を迎える日々。あともう少しだから…。
どれくらい眠ったのだろうか。気がつくとワタシはガラス越しにワタシを見ていた。ガラスに映り込むワタシはクロアゲハ。ベッドに横たわるワタシの手の中には瓶の蓋。静かな微笑みにはもう孤独の影はなかった。ありがとう、ワタシ。さようなら、ワタシ。
ふわりと吹きこむ春風に誘われ、思い切り羽を広げる。ひらりひらりと舞っていく。愛の光を目指す最期の旅は今、始まる。
ワタシはひとりぼっちだった。そんなワタシにとって、ジャムの空き瓶の中で日に日に成長するイモムシは生きがいになった。イモムシは元気に葉を食べ続け、いつの間にか糸をだしサナギになった。ベッドからサナギを見守る。カーテンと窓を開けてイモムシと朝を迎える日々。あともう少しだから…。
どれくらい眠ったのだろうか。気がつくとワタシはガラス越しにワタシを見ていた。ガラスに映り込むワタシはクロアゲハ。ベッドに横たわるワタシの手の中には瓶の蓋。静かな微笑みにはもう孤独の影はなかった。ありがとう、ワタシ。さようなら、ワタシ。
ふわりと吹きこむ春風に誘われ、思い切り羽を広げる。ひらりひらりと舞っていく。愛の光を目指す最期の旅は今、始まる。
ファンタジー
公開:20/09/21 09:00
右脳活動したくてショートショート書いてみようと挑戦中です!
空想競技2020入賞∶ 遠吠えリレー
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