睡眠スワップ制度

6
3

「おかえり、夕飯、どうする?」
「とりあえず睡眠スワップしたから、その分2時間寝るわ」

 多くの家庭でこんなやり取りがされている。

 政府は1日に必要な睡眠時間を7時間と定め、それに満たない分を他の日の活動時間と交換し、不足分睡眠を取らなければならない「睡眠スワップ制度」を導入した。睡眠のための機械も開発され、強制的に眠りにつくことができる。睡眠負債が人体の負担を大きくしていることを懸念した制度だ。
 7時間も睡眠が必要ない人もいるため、その人に対しては適正な睡眠時間があれば良い。

「おい石野、早く帰らないか」
「も、もう少し……」
「お前、もう少しでスワップ睡眠時間が24時間超えるぞ」
「そ、そうはいっても……うわ、もう日をまたいでる!」

 20分後、石野はその場で眠りについた。スワップ睡眠が24時間分を超えると、強制的に眠ってしまう。これにより、残業をさせる企業は激減した。
その他
公開:20/09/19 16:12

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容