通り雨と日差し

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空を覆い尽くしたのは白にでも、ねずみ色にも見える雨雲。
ふと窓からじっと雨雲を眺めていると、屋根瓦にポツポツと雨粒が落ちて行く。
雲と共に来た風は近くの木を揺らし、動物の代わりの雷の音が辺りに響き渡る。
じぃっと見れば、雲は遅めの速度で動いており、ずっと見ている内に欠伸が出てしまった。
雨は次第に強くなって行き、屋根瓦を濡らすだけだった雨粒はまるで霧のように風に後押しされ、地面に水溜りを作って行く。
黒色に染まった地面。眩い光を発する雷鳴、そして大粒の雨。
演奏としては音程がバラバラ過ぎだが、その雨音は心を自然と落ち着けてくれる。
雨音に耳を澄ませながら、目を瞑っていると音は聞こえてこない程に小さく、雨雫の小さくなって行く。
ビショビショになった屋根瓦が乾き始めたその頃に見えてきたのは、雲の間から出てきた晴れ間。
その日差しと共に、私はクスッと笑っていた…
その他
公開:20/09/19 00:07

勇と申します。
まずは書く楽しさを取り戻したいと思ってます。
ゆっくりと考えを変えていきます。
最近は気まぐれに更新中です。

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