『業火』

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迫り来る火炎に飲み込まれる様な錯覚に、ファインダーから目を離し、タウン誌の新人記者は額の汗を拭う。

焼き尽くすような"紅"だった。

その紅蓮は心を熱く焦がし、見る者を熱烈に魅了した。マスカレイドと呼ばれる謎の画家の作品。『業火』と名付けられたその絵画は、五番街の色街、とあるビルの壁に描かれている。
「見ない顔だねぇ記者かい?」
声をかけてきた老人は色々と教えてくれた、『業火』が10年も前に描かれたこと、この街で大規模な火災があったこと、丘の上の洋館に「伯爵」と呼ばれる男が顔にひどい火傷を負ったこと…。
「あの火事で、家族を失いました。」
「伯爵」と呼ばれる洋館の主人は後日、意外にも取材に応じてくれた。
「あの絵は、『業火』は呪いなのです。」
顔を包帯で覆った伯爵の表情は見えない。
「この季節には火傷が疼くのです。」

この街では、『業火』の描かれた五番街を中心に不審火が相次いでいる。
ホラー
公開:20/09/18 20:41
更新:20/09/18 20:42
仮面の画家②

空津 歩( 東京在住 )

空津 歩です。

新シリーズ「人喰い病院」はじまりました。

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マイペースに描いていきたいです!

SSG1周年!

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