傘の自動販売機 ~自販機シリーズ~

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「なんてツイてないのかしら」紫乃はたまたま側にあった軒下で独り言ちた。急な豪雨に降られたが、飛び込めただけ運が良かった。
『遅れてしまうわどうしよう。濡らすわけにはいかないし』
その時、黒い影が目の前に現れた。自動販売機だった。

「傘のご用命はございませんか?」
「助かったわ。1本いただくわ。透明ピンク、水玉で」紫乃は500円玉を渡した。
「わかりました」キュン、ガチャン「どうぞ」

そこへ濡れ鼠の小さな女の子がやってきた。紫乃はかがんで話しかけた。
「傘がいるわね」
「うん」
「自販機さんがくれるわよ」
「小さな子には無料で小さな傘を差し上げてます」キュン、カチャン「どうぞお嬢ちゃん」
「ありがとう」
女の子は傘をさして歩いて行った。
「さて私も行かなくちゃ。ありがとう自販機さん」
「どういたしまして」

自動販売機は次の雨宿り場所に向かって行った。
そう。彼は自分で動く販売機なのだ。
青春
公開:20/09/18 20:33

わんにゃん( 大阪・京都 たまに東京 )

人生3度目の小説への挑戦です。最初は中高生の時でした。

R2.8.29 初めての利用から数日ですが、コメントされる喜びとコメントする楽しさが分ってきました。こじんまりとしたSNSみたいでいい雰囲気ですね。

フォロー返しは必ずします。コメント返しもします。

【入院】10.29(木)から心臓冠動脈バイパス術で入院します。術日は11.2(月です。
【手術】成功しました。皆様からの応援の賜物と厚く感謝申し上げます。心臓ICUから通信許可出ましたv
【退院】11.14(土)退院。応援有難うございます。ご心配おかけしました。
【他サイト】エブリスタhttps://estar.jp/users/581438913

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