時の記憶

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「泣いているの?」
少女に声をかけたのは、杖を持った少年。
「あなたはだあれ?魔法使いさん?」
「僕らの周りにはいろんな精霊がいるんだよ。君はこの風の精が視えるかい?彼らが僕に力をくれる」
風の精が彼の杖に寄り集まり、ふわふわとした綿飴になった。
「ありがとう」
少女は小さな魔法使いに願いを言った。
「地球から重力をなくしてほしいの」
「それはできないよ。重力がなくなれば、皆空を飛べると思ったのかい?それとも……」
重力がなくなれば、地面は剥がれ、海は干からびて、人間は宇宙に投げ出されるだろう。
「僕は神ではない。こう見えて1000歳近くだけど、僕には世界を変える権利はない」
「そうだったのね。どうりで見たことあると思った。くる日もくる日も泣いていたわ。わたしは生まれ変わって1000年待ってたのよ。あなたの力で世界を壊すのをね。わたしは神になる」
少女の目が全て黒くなり、彼女は叫んだ。
ファンタジー
公開:20/09/19 21:33
更新:21/01/08 19:48

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