おやすみ

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「君が生まれた日は嵐だったんだよね」
 ベッドで二人で寝転がって話す。
「盛大なファンファーレだったんだな」
「そうよ、人生の節目節目で大雨が降るの」
「僕と出会った日も雨だったね」
「プロポーズされた日もね」
 彼女はふふ、と嬉しそうに笑うと僕を見た。繋いだ手が温かい。
 その時だった。突然視界がひらけた。天井が星空に変わる。無数の星がチカチカと瞬いている。
「ああ、綺麗ね、素敵ね、この部屋から満点の星空が見えるなんて、これはどんな奇跡なの?」
 僕もその美しさに言葉をなくした。ふたりで長いこと星空を見ていた。
「先に眠ってもいい?」
 彼女が言う。呼吸で静かに上下する胸。
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい」
 僕は彼女の痩せた頬にキスをした。もう震えることのない睫毛。もうすぐ結婚して1年だったのに。
 天井は元通りただの天井で、星空なんか見えやしない。土砂降りの雨が窓を叩いていた。
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公開:20/09/17 21:12
更新:20/09/17 21:13

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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