チューニングガム

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朝、会社に着くと始業前にチューニングガムを噛む。
このガムを噛む事で仕事に対する弦がピンッ!と張られる気がするんだ。
起き抜けの空気は弛緩しきっている。しっかりとチューニングする事で仕事にもハリが出るんだ。
さあ、今日も張り切って仕事をするぞ!
そんな私を苦笑いを浮かべた部長が呼び止めた。
「君、そのチューニングでは弦が切れてしまう恐れがある。もう少し肩の力を抜いて、弦を緩めるんだ。緊張の弦が切れてしまえば元も子もないぞ」
危ない所だった…以前も切れた弦が同僚に当たり、怪我をさせてしまった事がある。
「締めすぎず緩めすぎず…これくらいでどうだ?」
やる気はそのまま、無駄な力が抜けた気がする。
『ありがとうございます。部長』
「いやいや。毎朝子供達のチューニングは儂の仕事だからな。ついでだよ」
芯の通った一本気な部長は今日も格好いい。
「無駄に威張らないよう、ネックの反りも気にしてるからな」
公開:20/09/17 19:14

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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