猫の意趣返し

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妙だ、とは思った。
衣服を着た猫たちが俺を招き、島内名所を案内し、高級ホテルの一室をあてがい、豪勢な晩餐を振る舞う。夢のような話。
もっとも、建設を先導したのは俺だったが。

現代アーティストにデザインさせた給水塔は闇夜に似つかわしく不気味に聳えていた。その上部で、直立した王が瞳を光らせている。

俺はかつて、遊び半分にボーガンを使って一匹の猫を殺した。いまでは深く後悔し、このように、猫のための半人工島まで建設した。ここまでやる人間はそうはいない。

資産の殆どを投じて、墓穴を掘ったわけだ。俺は思わず笑ってしまった。
猫の王国なら王様がいるだろうとインドライオンを輸送したのも仇となった。

わかっている。すべて俺が招いたことだ。
猫のため? 自己満足も甚だしい。

でも、死にたくない。

不意に、小さなノックの音がした。
俺は殺した猫を脳裏に浮かべ、息を呑んだ後、裏戸をそっと開いた。
ファンタジー
公開:20/09/19 07:00
更新:20/09/17 17:35

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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