素晴らしい青

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素晴らしい青の話をしよう。空?海?確かに俺の故郷の海は美しい。でも青というより緑だな。深い緑。その中に少しだけ青が閃く。
そうだな、俺にとって素晴らしい青は、お袋のピアスだ。濃い青の小さなカケラ。石はサファイアだって言ってたが、本当かどうか。ろくでなしの親父が唯一くれたものだって、いつも身に着けてた。

…すまない、意識が飛んでた。悪い。なんの話だっけ。そうそう青。素晴らしい青。そうだな、とっておきのがあるよ。ラブレターさ。初めて貰ったラブレター、透き通った青い便箋に薄く雲が書かれてて。可愛い字だったよ。インクも青で。彼女は青が好きだったんだな。髪には、いつも青いリボンだった。今思い出したよ。

…あとどのくらいだ?話すと酸素が減るのは知ってる。でも最後の瞬間まで正気でいたいんだ。素晴らしい青。今俺が見ているのがそうだ。はは。地球は美しいな。どんどん小さくなって、もうお袋のピアスみたいだ。
SF
公開:20/09/18 20:14
更新:20/09/18 20:21

工房ナカムラ( ちほう )

ボケ防止にショートショートを作ります

第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。

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