蘭奢待

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奈良時代、天平文化が花開く平城京では、聖武天皇が都の流行病となっていた天然痘を治めるため腐心していた。
遣唐使での帰途、崑崙国(現在のベトナム)に漂流し、無事戻った平群広成が「蘭奢待」と呼ばれる不思議な香木を持ち帰った。蘭奢待の香りを嗅ぐと身体が癒され、いかなる病も治すと言い伝えられている。
聖武天皇は、妻である光明皇后がつくった医療施設、施薬院で蘭奢待を一片ずつ削り、天然痘に苦しむ人たちに嗅がせたところ、たちまち快方に向かった。
ある夜、蘭奢待に宿る木の精霊が聖武天皇の夢に現れ、「都に大仏を造立しなさい。鋳造の際、蘭奢待を削って銅や錫などと一緒に混ぜるとよい」と告げた。
その後、聖武天皇は、鎮護国家をめざす一大事業として大仏の造立に尽力した。

現在も東大寺では、地震や戦乱などで何度も修復されながら大仏が鎮座し、国宝を超える御物として蘭奢待が正倉院に収蔵され、大和の国を見守り続けている。
その他
公開:20/09/18 19:35
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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