魂の叫び
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「君さあ、音外れてるの気付いてる?」
対になったスピーカーからそう言われ、私はガガッと唸った。腹から出る音に耳を傾ける。
確かに外れている。いや、外れているなんてものじゃない。
私の背からケーブルが抜かれ、借主に交換を言い渡された。
倉庫に戻された私は、必死に練習した。しかし、どんなに頑張っても直らなかった。
こうなったら、外れた音に磨きをかけてやる!
そして再び、私は倉庫から持ち出された。いくら音痴を尖らせたって、使い物になるはずもない。行く先はゴミ処理場だろう。せめてもう一度、誰かに借りて欲しかった――。
「はい、繋ぎました」「じゃあ、一回合わせてみようか」
気付くとそこは小さなステージの上だった。状況を飲み込む暇なく、ケーブルから音が送り込まれてくる。
私は心の限り叫んだ。魂の叫びって奴だ。
誰もが知るジャズの名曲は、私の腹から打ち出された瞬間、ヘヴィメタルに変貌を遂げていた。
対になったスピーカーからそう言われ、私はガガッと唸った。腹から出る音に耳を傾ける。
確かに外れている。いや、外れているなんてものじゃない。
私の背からケーブルが抜かれ、借主に交換を言い渡された。
倉庫に戻された私は、必死に練習した。しかし、どんなに頑張っても直らなかった。
こうなったら、外れた音に磨きをかけてやる!
そして再び、私は倉庫から持ち出された。いくら音痴を尖らせたって、使い物になるはずもない。行く先はゴミ処理場だろう。せめてもう一度、誰かに借りて欲しかった――。
「はい、繋ぎました」「じゃあ、一回合わせてみようか」
気付くとそこは小さなステージの上だった。状況を飲み込む暇なく、ケーブルから音が送り込まれてくる。
私は心の限り叫んだ。魂の叫びって奴だ。
誰もが知るジャズの名曲は、私の腹から打ち出された瞬間、ヘヴィメタルに変貌を遂げていた。
ファンタジー
公開:20/09/18 17:15
どうやったら面白い作品が書けるのか、日々試行錯誤中。
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