思惑

　ある遠い星で活動していた地球人がいた。彼らは地球外生命体を探し入手するのが仕事だった。そして、ある星で生物を発見した。その生物は地球で云うところの大型肉食獣以上の強さを持っていたため、簡単に捕獲するのは難しかった。
　地球人は戦った。戦いは長く掛かった。地球外生命体は簡単には倒せなかったのだ。人間側は数人が命を落としたのと引き換えに一体の生物を殺して回収することに成功した。
　彼らは宇宙船に生物の死骸を載せて冷凍保存し、自分たちもまた、地球への長旅に備え冷凍睡眠カプセルに入り眠りについた。
　宇宙船が地球への帰還を始めてしばらくした頃、船の制御コンピュータは地球人のカプセルを船外に廃棄し、地球外生命体のサンプルだけを残そうとした。それは地球側の誰かの差し金だった。しかし出来なかった。乗組員はそうされることを恐れて地球外生命体をバラバラにしてそれらと一緒にカプセルに入っていたのだ。