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―致命的ブスなんだ、俺の妹。絶対見に行ったりすんなよ、いいな。見たら目潰れるかんな。
そう言って、先輩はサークル会議に出てった。

そんなわけでその妹が働いてる脱毛サロンの外に俺らは張り込んでる。
奥から現れた女性をガラス越しに見たとたん、「ヤバっ」俺らは固まった。
長い睫毛。くりくりしたつぶらな瞳。さらさらのロングヘア。
と、目が合って、彼女の花のような唇がほころんだ。いらっしゃいませ、と。
磁石に吸い込まれるように店内へ。
―ちょうどメンズコースが空いたところです。
気づくと、俺らは初回お試しとして彼女に腕を預け、施術台で夢心地。すべすべになった腕で全身脱毛5回分の契約書に判子を捺していた。

―毛がないとバレるべ。
―いいか。俺らは先輩のギターうっかりボコボコにした。その償いに目を潰そうと。な?

―お兄ちゃん、今日も殿方のご案内ありがとう。ギター?それは経費じゃ落ちないなあ。
その他
公開:20/09/18 12:00
更新:20/09/18 14:15
狂言 附子 ♯120 全身脱毛はいいお値段

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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