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俺は海に飛び込んだ。
人生を諦めて死ぬ、わけではない。
この海へ死体を投げ込めばきれいさっぱり消してくれるという噂を確かめるためだ。
殺し屋にとっての最大の問題は死体処理。
それを勝手にやってくれるというのだから都合がいい。
ただ、どんな原理で死体がなくなっているかは一切分からない。
用心深い俺は、一度その原理を探ることにした。
海は波もなく穏やかだった。
これでは死体が流れることもないだろう。
海中は驚くほど透き通っていて、海面を見上げると青空が見えるほどだった。
こんなところで死体が?
そう思った瞬間、右足に痛みが走った。
反射的に見ると、ふくらはぎが大きな貝に挟まれていた。
払いのけようとするも全く離れない。
次々と貝に襲われ噛みつかれた。
肉を噛みちぎられる。
意識が遠のく間際、海底の貝がゆっくりと開くのをみた。
そのなかには人間の目玉がいくつも入っていた。
ホラー
公開:20/09/19 20:06
更新:20/09/19 20:05

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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