ありがとう制度

本日、日本にありがとう制度という物が実装された。自分以外の誰かに感謝されありがとうと言われると、それが専用のカードにチャージされていき、現金の代わりに使用出来るという、貧富の差を少しでも無くそうという国の制度だ。国民は大いに沸いた。感謝の心がお金になるという何とも平和的なセンスが、日本国民の春のように温やかな感性に刺さったのだ。
暫くの間、街中で｢ありがとう｣という言葉が大流行した。流行語大賞にも選ばれた。今年の漢字には感謝の｢感｣の字が選出され、候補には謝の字があったという事もテレビで報道された。それぐらいに、世間では感謝の言葉で埋め尽くされた。
その内、紙幣や硬貨の現金類は旧時代の遺物と化した。
きっと将来、ありがとうヤンキーや、ありがとう殺人鬼なんかが現れるのだろう。さらに未来になると日本史の授業でこの大いなる時代転換について長々語られるのだ。
これからもずっと、日本の未来は平和だ。