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ぼくは待っているのがこわい。
この間、ママと二人でショッピングモールに行った。ドーナツを買ってくれるっていうからママのお買い物につきあってあげたんだ。
でかけるときママが、
「ちゃんと笛を持った?」
ってうるさいから、ぼくは笛をブンブン振り回してみせたんだ。
ママがおトイレにいってくるからって、ぼくにたくさんの紙袋を預けて、ぼくはベンチに座ってた。周りにも待っている子がいて、みんなソワソワしてた。そしたらやっぱり、アレがやって来て、みんなは一斉に笛を吹いた。ぼくだって笛を吹いたけど、アレがニターって笑った。ぼくは水曜日の笛を持ってきてしまっていたんだ。今日は、木曜日なのに……
アレはまっすぐぼくに向かってきた。みんな心配そうに見ているだけだった。真っ黒な毛だらけの手がママの紙袋に隠れたぼくの頭をつかみかけたとき、ママが頭を撫でてくれた。
だからぼくは待っているのがこわいんだ。
この間、ママと二人でショッピングモールに行った。ドーナツを買ってくれるっていうからママのお買い物につきあってあげたんだ。
でかけるときママが、
「ちゃんと笛を持った?」
ってうるさいから、ぼくは笛をブンブン振り回してみせたんだ。
ママがおトイレにいってくるからって、ぼくにたくさんの紙袋を預けて、ぼくはベンチに座ってた。周りにも待っている子がいて、みんなソワソワしてた。そしたらやっぱり、アレがやって来て、みんなは一斉に笛を吹いた。ぼくだって笛を吹いたけど、アレがニターって笑った。ぼくは水曜日の笛を持ってきてしまっていたんだ。今日は、木曜日なのに……
アレはまっすぐぼくに向かってきた。みんな心配そうに見ているだけだった。真っ黒な毛だらけの手がママの紙袋に隠れたぼくの頭をつかみかけたとき、ママが頭を撫でてくれた。
だからぼくは待っているのがこわいんだ。
その他
公開:20/09/16 10:08
こわいわけ
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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