超速成長ヒゲ男(ひげおとこ)書道家になる（２）

超速成長ヒゲ男の個展開催は書道界に衝撃を持って迎えられ、センセーションを巻き起こした。
ヒゲ男もこの日のために、作品の質の向上もさりながらパフォーマンスの練習も重ねた。書の型がある為基本形はヒゲ男と師匠とで作ったが、仕上げや魅せる場面は振付師の指導を仰いだ。
こうした努力があっての大成功だった。

それだけではない。毎日4.8m伸びるヒゲである。筆の穂先の材料を生産しているようなものだ。ヒゲ男ブランドの筆は売れに売れ、書道ブームを巻き起こした。ついでにヒゲブームも起これば付け髭ブームも起こった。

突然貴重品となったヒゲ男のヒゲは、ヒゲソラーという専門家を雇って剃らせ、保管の上で筆工場に送られた。
穂先を整えるために短く切られたヒゲも集められ、整形して額に入れ、書道の神の毛として縁起物販売で人気を博した。

こうして得た金は師匠にも指導料など様々な名目で支払われ、師匠もホクホクであった。