雨上がりのスプーン
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「今日も雨かあ」
10歳の翔太はひとり、窓の桟に肘をつき、しとしとと降り続く雨を眺めている。
「翔ちゃん、これ、知ってる?」
そんな翔太を見かねたお母さんが取り出したのは、1本のスプーン。
「これはね、雨上がりのスプーンだよ」
「雨上がりのスプーン?」
「そう。これを持って。まあるい円を、半分だけ描くように動かすの」
お母さんがそっと翔太の手を取り、動かしていく。すると――
「わあ、虹だあ」
すうっと陽が差し込んだかと思うと、雨が少しその勢いを抑え、スプーンが通った跡に、虹ができていく!
「これはね、水たまりに映った虹が集まったものなんだよ」
お母さんはにっこりとほほ笑む。
その瞬間、ぽんっと音を立てて、スプーンが消えた。
「使えるのは一度きり。でも雨が降る限り、なくならないの」
雨が降れば、スプーンが増える。
雨も悪くないなあ、なんて。翔太もにっこりほほ笑んだ。
10歳の翔太はひとり、窓の桟に肘をつき、しとしとと降り続く雨を眺めている。
「翔ちゃん、これ、知ってる?」
そんな翔太を見かねたお母さんが取り出したのは、1本のスプーン。
「これはね、雨上がりのスプーンだよ」
「雨上がりのスプーン?」
「そう。これを持って。まあるい円を、半分だけ描くように動かすの」
お母さんがそっと翔太の手を取り、動かしていく。すると――
「わあ、虹だあ」
すうっと陽が差し込んだかと思うと、雨が少しその勢いを抑え、スプーンが通った跡に、虹ができていく!
「これはね、水たまりに映った虹が集まったものなんだよ」
お母さんはにっこりとほほ笑む。
その瞬間、ぽんっと音を立てて、スプーンが消えた。
「使えるのは一度きり。でも雨が降る限り、なくならないの」
雨が降れば、スプーンが増える。
雨も悪くないなあ、なんて。翔太もにっこりほほ笑んだ。
ファンタジー
公開:20/09/16 00:56
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