優秀すぎた"勘"

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 その"砂"には見覚えがあった。
 玄関にはザラりとした砂の感触があり、刑事はそれを見て思い出した。行方知れずとなった、少女の最後の目撃現場である公園の砂…。
「…中に入っても?」
 令状はない――そう、これは"勘"だ。
「どうぞ」
 男は柔和な笑顔で、刑事を家の中へと招き入れた。

 男の口は滑らかだった。職業は医師であり、独身であり、裕福であり、そして…行方知れずの少女のことは知らないと言った。

「…では、失礼します」
 刑事は男の淹れた茶を飲み干すと、頭を下げて玄関へと向かった。…コイツが犯人だ。使命感が湧き、男を逮捕したいという欲に駆られる。

 しかし、それは叶わなかった。

 突如――全身に倦怠感が走り、意識が朦朧とする。
「…即効性のバルビツールです。そんなに急いでどこへ? 天国? 地獄? まぁ、どちらも似たようなものですけどね」
 男はずっと、柔和な笑顔のままだった……。
ホラー
公開:20/09/15 21:15
聞き込み 内心はドキドキしていたあの医師 若干のご都合主義話…ごめん

Sees

ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
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楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
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さて、今日はどんな事件が起きることやら……。



 

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