薬の副作用

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「博士、とうとう出来ましたね!」
「うむ、長い年月を要したが、やっと完成したな」
2人はテーブルの上にある瓶詰めの錠剤を感慨深く眺めていた。
これは、辛かったり、悲しかったり、嫌な思い出や悩み、感情を消してくれる薬だ。
「これがあれば、みんな楽しく暮らせますし、我々も大金持ちですよ」
助手が嬉しそうに言う。しかし、隣にいる博士は浮かない顔だ。
「この薬には副作用があるのだよ」
「副作用?どんなものですか?」
「この薬を飲めば、その時に苦しんでいる思い出や悩みは消える。しかし、1週間後にはまた新しい悩みが出てくるのだ」
それを聞いた助手は笑いながら言った。
「博士、それは副作用じゃありませんよ。人はすぐ悩む生き物です。目の前の悩みが解決しても、また自分で悩みを生み出したり探したりするのですよ。まあ、そのおかげでこの薬は永久的に売れ続けますけどね」
その他
公開:20/09/15 21:00

川島 太一

2020年9月から書き始めています。
いつかの作家デビューを目指して、とにかくあらゆるジャンルのものを書いていきますので、お読みいただければ幸いです。

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