記憶の海
20
14
海が嫌いだ。暗くて冷たいし、変な生き物がうようよしている。それに海に行った日は熱が出る事が多かった。
海水浴の日は「もっと遊んでおいで」と冷たい海に追いやられた。 両親の折角連れて来たのだから、という気持ちも分かっていたので、足に絡む海藻やら得たいの知れない影を避けながらひたすら波に揺れていた。
父が海にざぶざぶ入ってきて、胸の下あたりで立ち止まる。何をやってるのか分からなかったが、十五分くらいで浅瀬付近で浮かんでいた私に近づいてきた。何をしていたのか聞くと、アサリを食べていたと言う。びっくりして、父の顔をまじまじと見た。どうやってとったのかを聞くと、足先で砂の中を探り足の指に挟んでとっていたと顔色一つ変えずに言った。子供の時からの特技だと笑う父を見て、ほんの少しだけ海が好きになった。
アサリを足先で探る父の嬉しそうな顔を思い出しては布団の中で吹き出した。
海水浴の日は「もっと遊んでおいで」と冷たい海に追いやられた。 両親の折角連れて来たのだから、という気持ちも分かっていたので、足に絡む海藻やら得たいの知れない影を避けながらひたすら波に揺れていた。
父が海にざぶざぶ入ってきて、胸の下あたりで立ち止まる。何をやってるのか分からなかったが、十五分くらいで浅瀬付近で浮かんでいた私に近づいてきた。何をしていたのか聞くと、アサリを食べていたと言う。びっくりして、父の顔をまじまじと見た。どうやってとったのかを聞くと、足先で砂の中を探り足の指に挟んでとっていたと顔色一つ変えずに言った。子供の時からの特技だと笑う父を見て、ほんの少しだけ海が好きになった。
アサリを足先で探る父の嬉しそうな顔を思い出しては布団の中で吹き出した。
その他
公開:20/09/15 20:01
北海道
石狩の海
短い海開き
子供の頃の話
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます