創作落語『青とび』

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とび職ってぇ聞くと野蛮だったり将来性が心配とか余計なお世話を言われますが…
あ、あたしが言ったんじゃありませんよ。近頃の娘っこが言うんです。
一方、江戸では人気職だったようで。

「よぉ、今日からよろしく頼んます」
大工の熊のところへ弟子入り志願しにきた若旦那。
なにか奉公するなら、女にモテることがしてぇと無理やり頼み込んだわけ。
早速あれこれ教えるが、さすが天下の若旦那。
天板はケチって小さく切っちまうわ、管柱は余計に1本多く建てちまい、
しまいには釘打ち一つままならない。

「おめぇはてんでばかだなぁ」
「兄さんの教えが悪いんでぇ」
カンカンになった熊。
罵詈雑言を並べると、若旦那がお尻を出すもんだからトンカチでぶとうとする。
「おめぇにゃ何言っても糠に釘だ!けぇれ!」
「てやんでぇ!そう言うならおらの頭をぶってみろい」
「なんだと」

「ぶってみろい。たんこぶが出らぁ」
公開:20/10/02 19:00
更新:20/10/01 23:08
創作落語 青い とび職 青い=若い 若旦那=ダメなやつ 糠に釘=釘を打っても意味がない

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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