学校と社会

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「ちょっと佐藤くん、何止まってるの!列に合わせて並んで歩かなきゃだめでしょ!」

小学生の頃、僕は遠足があるといつも先生に怒られていた。
綺麗な花や景色、好きな物があったら何でみんな止まってそれを見ないのか疑問だった。

ある遠足の帰り道、大好きな昆虫を見つけて僕は夢中になった。
少し時間が経って顔を上げると、僕の学校の列は無くなっていた。

ここはどこだろう。迷子になった。

泣きそうになりながら歩いていたら駅に着いた。駅員にわけを話すと学校に電話してくれた。
2時間後、先生と母親が迎えに来た。
母親は泣いていた。先生にとても謝っていた。
僕はとても反省し、それからは立ち止まらず列に沿って歩くことにした。

15年後、僕は社会人になった。

「おい佐藤、少しは立ち止まって考えろ!こんな同業並みの企画じゃ通るわけないだろ!」

列から外れる勇気はもう僕にはない。
その他
公開:20/09/14 20:55
更新:24/09/13 18:29
小学校 遠足 社会人

田中かなた( 東京都 )

どこにでもいる20代平凡サラリーマンです。
通勤時間中に書いています。

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