モグラさんの宝物

ある海辺の小さな町
モグラさんは悩んでました
｢やあ モグラさん｣
｢やあ ネコさん 相談があるんだ｣
｢なんだい? モグラさん｣
｢そろそろ
路を作るのもやめにしようと思うんだ｣
｢これからは どうするんだい?｣
｢海にでも行こうかな｣
｢そっか モグラさん一つだけお願いごとをしていいかな?｣
｢なんだい?ネコさん｣
｢モグラさんに路を作って欲しいな!
休んだっていいから
諦めないで欲しいな｣
｢どうしてだい?｣
｢不幸だからだよ｣
｢僕にとっては 路をつくることが不幸だよ｣
｢幸運だとは言わないさ
でも 諦めることは不幸だよ｣
｢僕にとって?｣
｢モグラさんにとっても
この路が必要な人にとっても｣
｢この路が必要にはならないよ｣
｢ちがうよ この路は宝物さ｣
｢宝物?｣
｢そう 名前はね『命』って言うんだ｣
｢命?｣
｢そう みんなが持っていて
モグラさんしか持っていない
特別な宝物｣