295. かがやく、どうき

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どうきのCはおかたいが、なかなか有能な奴だ。
落ち着いた風貌で少し地味だが、近づいて目を凝らすと端正なのがわかる。
その上飲み会でビールを注ぐと黄金色の泡をきめ細やかに泡立たせ皆を笑顔にする。
お蔭でどの部署からも貸してくれとよくヘルプで呼ばれこき使われているが、その度に磨かれているのでその存在感は常に異彩を放っている──。

俺もCには負けないように皆に必要とされる人間でありたい。
俺は仏壇のじいちゃんに向かってそう決意を新たにすると
銅器(Copperware)を丁寧に両手で包んだ。

じいちゃんは鎚起銅器職人で、銅板一枚から鉄棒や金槌を使って一つ一つ丁寧にヤカンやカップ等を拵えていた。
俺はそれを仕事用のマイカップとしていくつか持参しており、職場での打ち上げのちょい飲みにも使用していてその良さを皆に知ってもらえたという訳だ。

今うちの会社では、この銅器が一番耀いている。
その他
公開:20/09/15 08:00
更新:20/09/15 08:18

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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